講座概要

成人期にある人々は、心身機能の成熟期にあるとともに、徐々にあらわれる老化現象に適しながら生活しています。また、現代における人々の生活は多様化し、ストレスにさらされることも少なくありません。このような時代背景を踏まえ、現代の成人に生じやすい健康上の問題の予防と回復に向けて、成人期の身体的・心理社会的特性および、それぞれの特性に応じた健康題を解決するための援助方法を学びます。

学部教育/成人看護論(2~3年次)

成人のライフステージにおける身体的・心理社会的特徴を学習するとともに、ライフスタイルがもたらす健康障害を理解し、それぞれの特性や能力に応じた基本的アプローチについて学びます。特に、成人期の機能障害がもたらす日常生活の制限に対する看護について、アセスメントを含めた実践能力を養うことを目標としています。

また、成人期の周手術期にある人々の身体と心を理解するとともに、各時期段階に応じて生命維持、健康回復への看護を実践するために、講義だけでなく、グループワークや実技等の演習を通して、必要な知識・技術を取得します。健康状態の急激な変化や生命の危機的状況にある患者の保護や回復における援助を学ぶとともに、人として尊厳を失わないような生活の援助の提供について学習します。さらに、生命の危機状態にある患者の家族援助についても学びます。

学部教育/成人看護学周手術期実習(3~4年次)

これまでに学習した既存の知識・技術・思考能力を活用し、統合して、看護の最小単位である一人の患者を受持ち、個別性のある看護を展開します。周手術期にある対象を受持ち、その身体的・心理社会的理解やその援助方法を学習すると同時に、看護実践能力の基礎となる人間関係能力、看護職に必要な役割や責務の重要性を学びます。

大学院教育

成人看護学領域の対象となる人々は、家庭や地域社会で中核的な役割を担い、要となる存在であり、ライフスタイルやストレスに心身ともに影響されやすい環境にあります。そのため、成人看護学領域では、クリティカルケアから慢性期、ターミナルケアに至るまで、対象範囲は広く、関連する他の領域も多岐に渡ります。私たち成人看護学領域では、成人の身体的・心理社会的特徴をさらに深く学び、健康状態の変容や健康保持・回復・増進について、個々に適した支援を行うための看護理論と実践方法を習得します。個々の研究テーマは、成人看護学領域におけるそれぞれの経験や臨床での疑問、関心などから設定していますが、特に当講座では、創傷管理やストーマケア、褥瘡を含むスキンケア等の新しい知識や技法を学びながら、看護実践能力を養います。また、ポジショニングや移動・移乗に関する知識・技術を習得し、よりよい実践方法を探究しています。さらには、医療チームの一員として他職種・他領域との連携の重要性・方法を学ぶとともに、リーダーシップのとれる人材を育成し、看護実践能力の向上を目指します。